7月に開かれる洞爺湖サミットを前に、環境問題への関心が一層高まりを見せていますが…環境問題に対して、様々な分野で、その対策や取り組みが進んでいるなか、住宅分野での対策も大きな課題となっているのだそう。
エコ住宅をうたい文句にした住宅メーカーも出てきていますが、それらの取り組みとは一線を画す、あるプロジェクトが先月からスタートし、注目を集めつつあります。その名も「天然住宅プロジェクト」http://tennen.org/)というもので、国産の良質な天然材木を使用することで、住む人の健康を守るだけでなく、放置され荒れている日本の森林を回復させ、そこで働く人たちの仕事の場をつくり、森林経済を活性化するなど、地域環境や地域社会までも巻き込んだシステムなんだそうです。



今夜は、この「天然住宅プロジェクト」をスタートさせた中間法人・天然住宅の代表、相根昭典さんをスタジオにお迎えし、お話を伺いました。

sagane




相根昭典さん:

天然住宅プロジェクトとは。

山の再生、山で雇用を促進し、お金に頼らないで自給生活ができるエコヴィレッジを作り、それのきっかけ作りでエコハウスを全国に広げようという取り組みです。

活動を始めるきっかけは。

環境と共生しようと思ったのは学生時代に大企業の化学物質を排出する廃棄汚泥を排出するアルバイトをした。バイト代が高くて。こんなことをやっていたらおかしくなると、エコロジカルな暮らしとか循環型をやろうと。かなりひどい状態でマスクもしないでやっていました。ちょうど四日市ぜんそくとか水俣病とか公害が噴出する時期だったのでそれに被さって。

中間法人にした意図は。

法律の専門家と議論して、社団法人への前段階で、今年末には。社団法人は非営利でディスクロージャーを徹底的にやって。社団法人は人が変わってもコンセプトを実行するのが大きな目的で、理念型の非営利の団体は社団法人が一番いいということで。

20年以上建築事務所でエコ活動をやってきて。森林再生、植林だけでなく、建築に結びつくシックハウスの議員立法を作ったり、ごみ問題も含めてやってきました。

最近の住宅環境は。

耐震偽装が明るみに出ることはいいこと。アスベストは20年以上も前から業界内で危ないと言われている。でも、今になって被害が発覚している。シックハウスでも同じ事が起きていて、一部の科学物質が規制されているだけで450物質の13しかガイドラインはなく、法律では2つしかない。使い続けると将来アスベストのようになる。作りやすくて、接着剤を使ったり化学物質を使うと楽なんですよ。クレームにならなくてたくさん作れて生産性が良いからどんどんそっちのほうにいく。逆に法律ガイドラインがあるから守っていますと被害者の人は苦しい思いをしている。

健康住宅、エコ住宅を売りにしているのが増えていますが。

徹底的に悪い化学物質が排除されていないので凄く不十分。全国から我々の事務所に問い合わせが来ます。

天然住宅プロジェクトの材料のリユースは。

今の木材は乾燥していれば長くもつ。法隆寺も1300年で手入れすればもつ。断熱材はウールをおすすめしています。ウールも正倉院のウールカーペットはまだ使えますから。何百年ももちます。長くもついいいい素材だけを組み合わせて作ってあげればリユースが楽。家庭ごみよりも分別がしやすい。

今のこれまでの大量生産の化学薬品で作った家は出来上がってから何年間住めるんですか。

一般的な化学物質で作られた家は25,6年で壊されている。30年以内ですね。ローンを払い終わった頃に壊れたり大規模修繕を行ったりみたいに。だから、日本は貧しいんですね。100、200、300年をもつような家にすれば楽に暮らせる。

今の日本の林業の現状はどうですか。

林業は構造材、板材ばかりと合理化されて工業化に向かっていた。歩留まりが悪い。1本の原木から20数パーセントしか取れない。あとは捨ててしまう。合理化が逆行している。丸い材から柱を取ると周りは捨ててしまう。効率が凄く悪い。いろんな小さな部材、大きな部材から端材から家具のつまみまで作る。一つの山で住宅部材の7割以上作ろうと思っている。山に資本が落ちて粗利が5、10パー以下。20パーセントとっていたのが。一ヶ所も原産地は日本は黒字のところは税金つけない限りないです。ちゃんと利益が出て、回っていてそこに雇用が出てエコビレッジが作れる。林業が活性化する。若い人も安心して仕事ができる。

天然素材にこだわるとお金がかかるのでは。

伝統工法で300、500年もつ作り方ですけど、ある程度合理化しました。工期を3,4割短くして3ヶ月くらいで300年ハウスを作れる仕組みにした。そうするとプレハブメーカーの中級品ぐらいのコストで。30〜35坪の家なら2400、2500万円ぐらいで出来るようになっているので。多くの人が参加できないと社会性がない。社会性をどうするかでもっともっと合理化すればローコストになるだろうし、部材だけでも購入できるようにしてセルフビルドしてもらえるように部材産業にしていく仕掛けです。

数千万円で数百年住めるのが売りなんですか。

要は30年しかもたない家が2千数百万円するじゃないですか。大手メーカーは1軒当たり平均単価は3000万円ちかい。それよりもむしろ安い。それで数百年もてば10分の1ですよね。凄く得でお子さんたちの世代が楽。豊かな暮らしができる。欧米のような暮らしができる。

欧米の木材の家は200年300年もっていますか。

もっています。地震がないので長くもつ。むしろ古くて付加価値がつくと高くなる。正常な流通です。

国とか自治体に提案はされていなんですか。

国は今の産業をどうしようかと将来をなかなか見れない体制なんですね。助成制度とか国には呼びかけたりはしていますが。まずは民間で持続して回るようにして法制度を我々から変えようというアクションをとっていこうと。

こういうプロジェクトに国もコミットしないと将来大変になことになりそうな気もしますが。

そうですね。大学の研究者の方々が国に向かってこういう制度を後押ししようとしていただいています。

エコヴィレッジはどういうものですか。

都会では食料自給ができない。地方では資源が多いので土地もいくらでも貸していただけるし、購入しても何百万で広い土地が手に入ります。自給しようとすると100ヘーベイくらいで親子3,4人で野菜が作れる。ベジタリアンだったら田んぼ1個借りると生きていける。エネルギーは木のくずでバイオマス発電で効率が凄くよくなりました。自給できる。建物はセルフビルドで自分で設計して建てて我々がコンサルして。そこで食料とエネルギーが自給できる。あとは服をちょっと買ったり、芝居みたいなとか映画観たいなぐらいのお金で済む。凄く安心でしょう。お金、組織、会社に頼らないでも自分が主体的に生きられるエコヴィレッジ。

エコヴィレッジは都会ではない。

そうですね。林産地で、雇用を生んで、そこでなくても技術を持っていれば半農半Xで稼げる村になると思います。今は宮城県のくりこま高原でも土地を提供する人も出てきて、山口でも200、300個の団地が提供されていて作っていこうとか。山ほど土地があるので。

最近の環境活動はどういったものに見えますか。

いろんな人がエコと言うようになりました。我々の活動も教科書に載るようになりました。とても良いなと。最初は浅いとか批判されましたが、入り口が何かあれば向かっていくので浅くても大歓迎です。マーケットが大きくなれば、今の動きは多くなる。

(2008年05月29日J-WAVE JAM The World「15MINUTES」より抜粋)



住環境に対する貧しさが日本にはある。それを変える試みであるかもしれない。