2014年8月2日 朝刊


 バターやチーズ、ハム・ソーセージなど食卓になじみが深い食品の値上げが、一日のメーカー出荷分から始まった。原料となる生乳や豚肉などの価格が高騰しているためだ。外食や菓子も価格が上がる商品がある。九月には缶詰などの価格が引き上げられる予定になっている。 

 実際に店頭の価格が上がるのは少し先になるものもあるが、消費税増税で厳しいやりくりが続く家計に重くのしかかりそうだ。


 8月に始まった値上げは、原料の高騰や新興国をはじめとする消費の拡大、円安による燃料価格の高騰が影響している。この傾向に大きな変化はなく、これからも値上げが続く可能性がある。(北條香子、小野谷公宏)


 明治は一日出荷分からバター四品を2・1〜3・7%の範囲で、チーズ六品を7・3〜10%の範囲で引き上げた。「明治北海道バター」(二百グラム)の希望小売価格(税別)は三百八十五円から三百九十三円になる。森永乳業もバターとチーズ計三品の価格を2・6〜7・1%値上げ。「森永北海道バター」(二百グラム)は三百八十円から三百九十円に。雪印メグミルクもチーズ二十二品の価格を4・7〜14・3%引き上げ、「雪印北海道100チーズ」(二百グラム)は三百八十五円から四百十五円になる。


 各社とも主な原料となる生乳の仕入れ価格が上がったことが大きな理由だ。円安で、輸入する配合飼料などが高騰し、北海道内の酪農家の経営を圧迫。事業をやめる生産者が増え、乳牛飼育頭数が減少した。昨夏の天候不順で牧草が不作となったことも追い打ちをかけ、生産量が減った。


 雪印メグミルクの担当者は「全体的に生乳生産が落ち込み、供給が減っている」と話す。生産者支援のため、生産者団体のホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は今春、生乳価格の引き上げを求め、各乳業メーカーが受け入れた。


 丸大食品とプリマハムは、豚肉の仕入れ価格などの上昇で、八月からハム・ソーセージなどの減量や値上げに踏み切る。丸大食品は看板商品「燻製(くんせい)屋熟成ウインナー」の容量を昨年九月に百八十グラムから百七十グラムに減らしたが、さらに百六十グラムまで少なくした。


 値上げは外食や菓子でもある。外食大手「リンガーハット」は一日、「長崎ちゃんぽん」などの価格を3〜5%の範囲で引き上げた。豚肉やエビの価格が上昇、原油高による輸送コストのアップも重荷となった。リンガーハットが運営するとんかつ専門店「浜勝」でも「ヒレかつ定食」などの価格を同様の水準で引き上げた。


 菓子大手のロッテは五日から、大袋タイプの「パイの実 シェアパック」などのチョコレート製品六品目の容量を17〜26%減量する。カカオ豆が高騰したため、価格を据え置き容量を減らす。


 値上げは、九月以降も多くの商品で広がりそうだ。マルハニチロは九月から缶詰など計六十五品を値上げする。健康志向の高まりで世界的に水産物の需要が増加し、相場が上がっているのが背景だ。「サケの原材料価格は二〇〇九年度比で二倍になり、商品の値上げなしには利益が取れない」と明かした。


東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014080202000126.html