2015年4月15日 朝刊

 自民党財務金融部会などによる合同会議は十四日、量販店などの酒類の安売り競争に歯止めをかけるため、酒税法などの改正案を議員立法で今国会に提出する方針を承認した。酒類の製造や販売に関する取引基準を法制化し、命令に従わない業者に対しては免許を取り消すことが柱。競争の激化で疲弊した「町の酒屋さん」の経営を守るのが狙いとしている。

 公明党からも事前協議で賛意を得ており、今国会での成立を目指す。安売り店を利用している消費者は酒類の価格が上がることで、家計負担が重くなる可能性がある。「政府が介入する話なのか」(小売業者)と懐疑的な見方もあり、国会での審議が注視されそうだ。

 改正案は公布から一年以内に施行する。財務相が施行までにあらためて販売などに関する「公正な取引基準」を国税審議会に諮問して定める。基準次第では、酒類の製造や販売への影響は大きくなりそうだ。

 国税庁は二〇〇六年に酒類に関する「取引指針」で価格の合理性や妥当性など、酒類業者が自主的に尊重すべき事項を定めたが、自民党は「法的拘束力がないので、指針に反する取引が全国で多発している」(河井克行衆院議員)としている。

 また改正案では、原則として酒類の売り場ごとに選任する「酒類販売管理者」に、未成年者への販売防止といった研修を三年ごとに受講することを義務付ける。

 取引基準や研修に関する命令に違反した業者に、五十万円以下の罰金を科すことも盛り込んだ。
 国税庁によると、一九九五年度に「酒屋さん」を示す一般酒販店は、酒類小売業に占める割合が78・8%に上った。しかし九八年以降の規制緩和でコンビニやスーパー、量販店の参入が進み、二〇一二年度には33・1%まで低下した。

<酒税法> 日本酒やビールといった酒の分類や税率などを定めた法律。主力のビール系飲料で、税率の低い「発泡酒」や「第三のビール」が登場し、量販店などで安売り競争が激化。国税庁は2006年に酒類に関する取引指針を示したが、罰則規定がないため効果は限定的だった。


東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015041502000112.html