2016年12月2日 朝刊

 石油輸出国機構(OPEC)の減産決定で産油国経済の改善が期待され、一日の東京市場は大幅な円安株高となったが、原油高は製品の値上げにつながる恐れがある。家計の負担増や消費への打撃を警戒する声も出始めた。
 家計でまず懸念されるのは、電気やガスといった光熱費が上昇していくことだ。暖房需要が高まる冬本番を迎え、灯油の購入を控える動きも出かねない。秋田市のガソリンスタンドの店員は「売り上げが減少しないか心配だ」と話した。
 ガソリン代が上がると人手不足で高騰している物流費がさらに上昇し、輸入する原材料費の負担も増え、内需企業を中心に製品価格への転嫁が避けられなくなる。
 原油高にはメリットもある。外国為替市場では、減産合意が伝わると一時一ドル=一一四円台後半まで円売りドル買いが進み、約九カ月ぶりの水準まで円安が進んだ。投資家心理が良くなり、相対的に安全な資産とされる円が売られたためだ。輸出関連企業の業績にはプラスに働く。
 市場では「一一五円に乗せるのは時間の問題」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)との声も。円安を好感し、東京株式市場でも鉱業や商社など資源関連株を中心に上昇し、終値は約十一カ月ぶりに年初来高値を更新。金融資産を持つ富裕層を潤した。
 原油安が重しとなり2%の物価上昇目標が遠のいていた日銀にも追い風となった。日銀の桜井真審議委員は一日の記者会見で、原油高は「一般論では物価を押し上げることになる」と歓迎した。

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016120202000133.html